完全な「自己完結型」人生を是としてしまったら

政治と経済

究極的には、いのちも魂もその人本人のモノです。なので最後の最後、自分で自分のあり方を決めるというのはその人の自由です。自給自足を極めるのも良い。ですが、本当に自己完結、自分の事で精一杯、社会はまあ、外の世界の話ですからというスタンスを本当に全員が諦めの境地のように採りはじめてしまったら、多分その国は滅んでしまうんだろうなという一抹の不安を覚えたのでこちらに書いておきます。

脱力系活動家(?)の方々

年収300万円台、一億層貧困化、ワーキングプアみたいな話がなされて久しいですが、下りのエスカレーターになっている世界でそれに抗って生きるよりも、「こうあった方が良い」という既存のお仕着せの価値観から完全に脱却して生きていこう、その中に幸せを見いだそうという人達がいらっしゃって、一定の支持を勝ち得て存在感を持っています。拡大志向の資本主義的、日本の場合には昭和的な価値観にくたびれてしまって、実際経済は拡大するどころかマクロでは縮小していく傾向にあり、それなら我武者羅に頑張ってもしょうがないじゃない、ということでそんな中に小さくとも幸せを見つけるというのはとてもポジティブなことだと思います。それで追い詰められて潰されてるくらいなら、逃げるが勝ちです。それはとても賢い生き方だと思います。

だけどそれじゃ、社会も維持できなくなる

年収も100万円を下回るレベルになってくると、おそらく健康保険料も年金保険にも未加入という状態で生きていくことになります。若くて健康なうちはまだいい。しかしいよいよ本当に自分が日々生きていくというのに必要充分な以外には一切のバッファがないという経済事情での生き方になっていくと思います。

朝起きる⇒水を飲む⇒軽く食事⇒散歩⇒夕方までまったり⇒近所のスーパーで見切り品購入⇒自炊⇒暗くなったら寝る

こんな具合の生活が延々と続く、ほとんど年金生活の方々の隠居生活のような、今までの見方であれば完全に人生の晩節も晩節のような生き方を普通の若い人達がするような、ほとんど植物のような生き方になってしまう。

いえ、それでも「自給自足で子供も養ってる」(本宮ひろしさんの漫画「まだ、生きてる」みたいな)というのならそれは本当に見上げたもので何も文句はないのですが、もはや「働くのは面倒」「家族も面倒」と何もかも捨て去って、確かにその場を見る限り人様に何の迷惑も掛けてない、生産もしなければ消費もしない、ただ生きているだけという完全な自己完結の生き方を皆が採用し始めたら、いよいよ次の世代はもはや生まれなくなり「日本の完全な死(消滅)」に繋がるのではないかなと。

こういった書籍が生まれる背景について

もうどう足掻いたところで逆転不能な現実を前に、自分を追い詰める自分の価値観の方を転換してしまおうというのはポジティブなことだと上でも書きました。でも、「世界はもう終わるそれを粛々と受け止めよう、共に消え去ろう」そんな価値観というか悟りを若い人達に促すほどに世界はおかしくなってしまっている、という状況をこれらの本の出現は示しているという認識で、これは警告と受け止めるべきだと思いました。(でも、大原へんりさんなんかは全然絶望はしてないし、ましてやうつ病なんかでもありません)

まとめ

きっと、なるようにしかなりませんがEnnisはそれでも足掻いてベストを尽くします。あくせく働かなくとも結構。しかし、「世代を紡いでいく」というところ、つまりは最低二人の子供(次世代)を育てて行くというところは死守すべきラインとして前提に置いた思索をしていきます。

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