民事執行法の改正『悪人の逃げ得を許すな』

政治と経済

実はEnnisも一度、少額ですが知人による詐欺の被害にあった事がありまして(インドに会社作るから少し出資してほしいという話で15万円だけ。すぐに連絡がとれなくなり、泣き寝入りになりました。)、いざ訴訟だ!となったときに日本の司法がいかに役に立たないか(特に民事で)ということを身に染みて理解しているのですが、2020年4月からここが随分と改善されたということなので、このブログの本筋とはあまり関係がないのですが書いておきます。うれしくてうれしくて(笑)

被害者が救済されない日本の司法

例えば、知人に100万円を貸したとしましょう。そうしたら音信不通になった。相手の実家の住所などは分かっているので何とか取り返したいと、詐欺事件として訴えるために警察に駆け込んだとしましょう。ところが警察も忙しく、100万円程度の詐欺だと「諦めてください」みたいな対応しかしてくれません。(驚きでしょう?でも実際、知人で800万円の詐欺事件に遭った人が警察に行った時の対応がこれだったそうです。)

刑事裁判にするのが無理なら民事裁判にして・・と思うかもしれませんが、民事裁判となると自費でやらないとなりません。証拠をそろえるためのとんでもない労力と、何より弁護士さんに依頼する費用と、と考えだすと大変なことになるのですが、取り返すお金が100万円程度だと悲しいことにまず「赤字」になります。100万円を取り返すために150万円掛かりました、となると結局50万円を持ち出したことになって、被害者は全くの「やられ損」になるのです。裁判で勝って、正義だけは貫けても実質的には何の救済にもならないのです。

そして、裁判で勝った先にさらに大きな試練が待ち構えています。裁判で勝ったのだから簡単にお金を取り戻せるだろう、普通はそう考えますよね。ところが日本の場合、取り戻すとして相手がどこに資産を持っているのか、というところまで全部、被害者側が特定しないとなりません。銀行口座だったら銀行名と支店まで特定しないとならないのです。相手が自分の非を認めてスンナリ払ってくれるなんてことは期待しにくいのですが、そんな相手の善意というか「裁判の結果には従うに違いない」という前提があるのか、「俺は嫌だよ、払わないよ」と開き直られると手も足も出ない。そんなのが日本の法律だったのです。直近まで。驚きでしょ??(笑)日本の司法がいかに被害者にとって「役立たず」かということは、こちらの本にとても詳しいです。読むと地団駄踏みたくなりますよ(笑)

死刑制度に反対の立場だった弁護士さんがいざ、自分の奥様を殺されて日本の司法がどれほど被害者に冷たいかということを思い知った結果「死刑存続」の立場に180度方向転換したなんていう逸話がありますが、平穏な日々を過ごせていると気付かないこの日本の司法の体たらくさは、いざご自身が犯罪に巻き込まれてみると痛感することになります。

悪人をコテンパンにするドイツの司法

かつて日本はドイツに法律を学んだようなところがありますが、ドイツの法律はかなり骨太です。詐欺事件の場合に有罪が確定すると、加害者側は自分の資産がどこにあるかということを明らかにする法的義務が生じます。これを拒否すると「法廷侮辱罪(てめえ裁判所ナメとんのかの罪」となり、刑がさらに重くなります。法の目的は、被害者の救済です。裁判所の判決文書はありがたいですがそれが何の効力もないならただの紙です。お子様銀行券です。意味がない。この視点でドイツの法律は進んでます。なんで日本の司法はこの点全く無力。「下々の衆生のケンカまで面倒くさくて見てらんないよ」って、そんな怠慢が見て取れます。

司法改革の一環としての裁判員制度だったが

日本で行われた裁判員制度は司法改革の目玉でした。しかしこれで何か裁判がまともになったか、判決までの期間が短縮できたかというと、あまり良いうわさは聞きません。(日本の裁判官は大学の法学部などを出たあとにそのまま、社会人を経ずに裁判官として純粋培養されるコースをたどる人が大半なので、まともな一般人の常識がないという批判もあって導入されたという面もありましたが、裁判員の出した判断が上訴で裁判官の手で覆ったりといったことも度々で、この点についても改善が図られたかというとそこもいまいち)判決が一般人の感覚から見て妥当かというところだけの改善案としての司法改革であったため、どうやって被害の救済を図るかというところにまで立ち入ったものではなかったため、当然の結果と言えるかもしれません。

今回の民事執行法改正でどうなるのか?

日本の民事執行法にも、ドイツの「法廷侮辱罪」に近いレベルの規定が盛り込まれました。判決が確定したのに自分の財産の在処について答えない、またはうそついた場合に、

6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられるようなりました(改正民事執行法213条1項)。このように、場合によっては、懲役刑まで課せられてしまうのですから、かなりの心理的強制力が働くものといえます。

https://www.nagoyalaw.com/2019/12/%E6%B0%91%E4%BA%8B%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E6%B3%95%E3%81%AE%E6%94%B9%E6%AD%A3%EF%BD%9E%E5%82%B5%E5%8B%99%E8%80%85%E3%81%AE%E8%B2%A1%E7%94%A3%E3%82%92%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B.html

日本の民事執行法もかなり強くなりました!!裁判費用の負担っていう問題はなお残っていますが、加害者を追い詰めるための手段がものすごく使いやすくなったというのはとてつもなく大きな前進です!

やったね!!!(=ω=)

まとめ

民事執行法の改正で、犯罪者の「逃げ得」を許さない規定が盛り込まれて大幅に被害者救済のパワーが強くなりました。ドイツの「法廷侮辱罪」に近い強力な法律で加害者を追い詰めることができます。被害者が救われやすくなりました。うれしくてEnnisは小躍りです(笑)

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