仮想通貨(暗号資産)NEM(ネム)スナップショットイベントを無難に乗り切るための考察

政治と経済

昨晩(2021年3月8日)に、Twitterでふとつぶやいたところろもの凄い反響(通常の私のツイートは大して耳目を得ないので(笑)それから比べると反響は50倍とかのレベル)があったので、こちらにも私の見解としてのまとめを書いて置こうと思いました。普段スピ系とか社会問題のことばかり語ってる私が突然仮想通貨について語り出したということに驚かれる方も多いかと(笑)ただ、語っていなかっただけで私は仮想通貨に関してはもう付き合いは5年ほどにもなる結構なフリークの部類の人間です。通貨にデジタルな性能を付加したら、エジプトで使われた穀物貨幣のようなものが実現できるかもしれないっていうこと辺りで、実はリンクがそれなりにありました。

NEMとは?

もはや私が語ろうには文献がインターネット上に充実しすぎているので、Googleで検索してみて下さい。NEM(New Economy Movement)という財団が開発している、ブロックチェーン技術を仮想通貨(暗号資産)に応用したものです。2021年3月9日の現時点において、仮想通貨としては同じ頃に認知され、米国での訴訟騒ぎで相当イメージがダークになってしまったリップル(XRP)を尻目に、実際に通貨としての普及が最も可能性として高くなってきている感のある仮想通貨です。3年前、Coincheckから大規模な盗難・流出事故があったことで変に名前が知れ渡ってしまいましたが、アレはべつにNEMの技術そのものの問題ではなく、顧客の資産を預かる販売所の保管体制の問題でした。

Symbol(シンボル)とは?

NEMは当初、Catapult(投石機、発射台の意味)という機能アップデートを近いうちに行うということをずっと宣言していました。リアルな世界に適用してみて実際どのようなフィードバックが得られるか、そこを元にして新しい機能を必要に応じて追加して行くというのが、システム業界では流行っている『アジャイル開発』というやつですが、NEMもそのコンセプトで新しい機能の盛り込みをドンドン計画していきました。

しかし、現実世界で必要な機能というものをリストアップしてみたところ、もはや大元である『NEM』とは似ても似つかないものが出来上がってしまうということが分かり(これは嬉しい誤算と言うべき)、NEMとは別物として分岐する「Symbol」という新しい通貨として再出発するということになりました。

よって、NEM財団は、ある1時点(スナップショット時)に保有しているNEMの保有量に応じて、新しい通貨であるSymbolを『同数付与』するということを宣言しました。同様のコトは、ビットコインでも(BCHとか)、イーサリアムでも(イーサリアムクラシックとか)でも起きています。ハードフォークと呼ばれるイベントです。ただ、今回は今まで起きたこの系統のイベントとはかなり状況が異なるというところが、考慮すべきポイントです。

直近3年間くらいで起きたこと

3年前の流出事故が起きたタイミングというのは、仮想通貨もまだ黎明期で新しいものが出ては消えて、中には資金だけ集めて雲隠れする完全な詐欺の手段としてのものものあり、魑魅魍魎の住み世界でした。そこから、自主規制団体も日本国内に生まれ、仮想通貨の取引所というのは、日本では金融庁への届出が必要という形で、法律の整備もなされました。業界の自主規制団体も生まれました。逆にいうと、そこまでは無法地帯であり、準拠する税の扱いですとかも明確になっておらず(現在は差益が出た場合は雑所得扱い)、国内の取引所も奔放に仮想通貨を扱っていました。

また、G20といった国際的な会合でも仮想通貨というものの存在が認知され、どのように扱うのかということのスタンスが固まってきています。

日本の場合、「金融庁に届け出ている仮想通貨取引所」の取り扱う仮想通貨は「ホワイトリスト」と呼ばれ、他の仮想通貨とは信頼性などの点において別格の扱いをされています。投資先としてはまあ、詐欺のような疑いはないのでそこらへんは安心して下さいという次元です。後述しますが、この「ホワイトリスト」の扱いというのが、今回NEM⇒Symbolの移行劇で起きるスポットの市場・相場の特異性であって、注意すべき点です。

Symbol付与前後で何が起きるか?

今までの例で言うと、ハードフォークが起きるタイミングではだいたいのケースで同数の新通貨を付与されるということが多かったです。このため、対象の通貨というのは「買っておけば新しい通貨が貰える」ということで大きな注目を浴びてメチャクチャ買われて価格が上がるということが繰り返されてきました。しかし、今回このNEM⇒Symbol付与のお話は、Symbolがしっかりホワイトリスト扱いの安全な通貨と見なされるか、ということがクリアにならないと、国内の取引所はこれを上場することができないのです。

NEMの保有量に応じてSymbolを貰うという意思表示であるオプトイン、および実際にそのオプトインを行ったウォレットに対してSymbolの付与量を決めるスナップショットは、3月12日に予定されています。自分でウォレットを持っていてそこにNEMが保管されているという人は、自分でオプトインを行ってSymbolのウォレットも用意して同数付与を受ければいい。ところが、そこまでの手続きを自分でできない人は、取引所が保存している自分のNEMに対してSymbol付与の手続きをどうしてくれるのかということを固唾を飲んで待たないとなりません。

今までと雰囲気の違うハードフォーク

今までのハードフォーク系イベントとはかなり様子が異なる今回のNEM⇒Symbol付与イベント。何がどう違うのかまとめると、

①:国内の取引所のほぼ全てが、Symbol付与へのスタンスを明確にしていない。
オプトインにもスナップショットにも応じるけど、Symbolをどう具体的に付与するのかという話が全然出ていない。NEMと同数付与するのか、付与されたらすぐさま時価で換金してSymbol分の金額を付与するのか、はたまた付与しないのか。そういった話が全然出ていません。ホワイトリストとして扱うのに、国内の取引所では相当の時間が掛かるようになっており、Coincheckで扱っているENJことエンジンコインなどは、取扱を目指して2年の歳月を費やした結果ようやっと上場に漕ぎ付いています。片や、Symbolはローンチがようやっと2週間前(2021年3月9日時点)で決まったようなもので、ホワイトリストとしての審査はこれから、という状況です。となると、国内の1取引所レベルではSymbolの扱いについて明言できないという状況だということが良く分かります。

②:買い煽りのようなのがほとんどない(少なくとも取引所主導では)。持っている枚数と1:1で新しい通貨が貰えるのであれば、普通に考えれば「買う」でしょう。手数料狙いの取引所もこれをイベントとして捉えてプロモーションを掛けてくるはず。ところがそういう動きがほとんどありません。これは、上記の通りSymbolの付与というところが明確に発表できないのと、今回のNEMのSymbol付与あるいはアップデートというイベントは仮想通貨界隈では3年に1度くらいのビッグイベントであり、プロモーションせずともそれなりに耳目を集めているところ、実際にNEMがスナップショットを迎える瞬間まではNEMが高騰するでしょうが、スナップショットを終えてSymbolが付与された瞬間から「売り」一色になって値段が付かないレベルにまで価格が落ちるということがありうること、そんな状況でもトランザクションの増加で取引所側でのサーバーダウンなどが起きれば確実にその取引所は叩かれて最悪訴訟を受ける可能性もあります。

そんな状況でおいそれと煽るようなマネをすると、スナップショット間際でNEMを購入した人は確実に直後に「売り浴びせ」を食らってNEM価格下落での損失を被ることになります。これは市場のメカニズムとして当然のことなので、予めそういうことを説明した上で買って貰えれば良いのですけれども、不評というのはそういうロジックを無視して悪くなることがあります。

③上記のような状況で国内取引所は妙な足並み合わせ。これは私の邪推だろうとは思うのですが、このイベントを使って他の取引所よりも収益を上げるということは可能です。どこよりも早くSymbol付与のアナウンスをすれば、そこにNEMは集中します。ところが、どの取引所も今回のこのイベントの予想できない流量のトランザクションを『確実に捌ききれるか』ということは自信がないのでしょう。(同じシステムの業界に実は本業としてEnnisは在席しているのでそこは良く分かります)そこで、『出し抜いてウチだけ儲けようってのは、今回はナシにしような。共倒れになるかもしれないから』という口裏合わせのようなものがあるのではないかと思っています。(飽くまで私個人の推測です。何の根拠もありません)

仮想通貨は文字通り通貨・貨幣紙幣のようなものですが、有価証券とかの法律は全く適用されない代物です。驚くでしょうが、インサイダー取引のようなことをやっても全くお咎めナシです。仮想通貨取引所がSymbolの付与について口裏を合わせるのは、一応「談合」のようなものに当たるのかも知れませんが、だとしてもそれを取り締まる法律がありません。

それで結局どうなるのか?

私個人は上記のことから、1つの結論に至って昨日(2021/03/08)一年近く保有していたNEMのポジションの半分を精算して利益確定を行いました。それは『A.国内取引所ではSymbol付与は当面の間期待できない』『B.同数のSymbolが貰える、よってスナップショットに向けて価格が高騰していくという期待は、取引所が付与のスタンスを明確にしないままスナップショットを迎えるということで2-3日前から失望売りが起きて、スナップショットよりも相当早い段階からNEM価格の大きな下落が起きる』という予想からです。

なので大胆な予想なのですが、今この記事を書いている2021年の3月9日あたりがおそらく今回のSymbolイベントに伴うNEM高騰のピークであって、利確したければこのタイミングで、ということになります。(ひたすらSymbolの枚数が欲しい人はこの限りではない)それと、スナップショット後はNEMについては「売り一色」になってしまって酷い下落を喫する、そんな中で取引所のサーバーダウンなども起きて大混乱が起きるのでは?というネガティブな想定もあります。Symbol貰ったらNEMに用はないから売る、というのは誰もが考えることで、誰もが考えるために逃げ口が詰まってしまって逃げられないということが大いにあり得ます。

こちらは飽くまで私個人の判断であり、結果を保障するようなモノではありません。投資は自己判断でお願いします。こんなこと書いておきながら、明日には各取引所が「Symbol付与します~」なんてことをしれっと発表しちゃって、NEMはお祭りの大暴騰!なんてことも普通にありえる話なので(笑)話半分に捉えてください。でも、もしこの予想通りになったりしたら、そのときは少し私を褒めて下さい( *¯ ꒳¯*)

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