ガンと長寿と確率論

食と健康

日本は世界一の長寿国ですが、ガンで亡くなる方というのもどんどん増えています。なんかここに、「ガンという病気のメカニズム」と確率論が潜んでいるような気がしたのでこちらに書き記しておきます。

ガンという病気

ガンは、根本的には細胞が分裂する際に自らのコピーを作る操作を誤ることで発症します。普通、Aという細胞からはAがコピーされて生み出されるわけですが、A⇒A’といった具合に異なるものを生み出してしまうのです。細胞の持つ「自らをコピーする」という性質から、一度A’になってしまうとこれが分裂してもA’、さらにその先でコピーをしくじるとA”になって・・といった具合に大元の細胞とは似て非なるものが出来上がっていく。こういう仕組みでガンは発症します。

確率論

皆さんがジャンケンをするとき、勝てる確率は1/3です。33.33%です。一回目でこれなのですから、連勝するとなると1/3×1/3で1/9になります。こんな具合にたとえば100回ジャンケンをするとして、100回勝ち続けることのできる人というのは、相当な天文学的な低い確率になります。しかし、確かに存在するということになります。

ガンと確率論

人間のカラダは、凡そ2年程度で代謝により物質的には完全に入れ替わっています。つまりこの間に細胞分裂が行われて肉体を構成する物質が交換されて、ということが行われている。問題はここで、例えばAという細胞が自分のコピーを創り出すときに完璧なコピーが創れるという可能性が99.9%だったとして、確かにこの高い確率であれば1回でコピーミスをするという可能性はとても低い。ところが、99.9%という数字は「1000回に1度」はミスをするということと同義で、何度も繰り返すことでいずれはミスるということです。

昭和の初期の日本人の平均寿命が50年程度だったのに対して、今の日本ではそれが80年近い。2年で体が物質的に入れ替わるとして、遺伝子が自らのコピーを作って代謝を繰り返すという回数が、単純計算で延びた寿命30年、15回もサイクルが増えているのです。遺伝子の代謝サイクル25回(平均寿命50歳)と、40階(平均寿命80歳)では、1.6倍も時間と回数が伸びているわけで、遺伝子がその間にコピーをミスしてしまう可能性というのも1.6倍になっているわけです。

つまり、寿命が延びると必然的に「癌になる可能性は高まる」ということなのかもしれません。

もちろん、医学的にエビデンスの取れている発がん性物質といったものは存在していて、ありとあらゆる人工物質・化学物質に囲まれている現代の私たちは癌発症のリスクという点でかつての人達よりも遥かにストレスフルな環境で生きているのは間違いありません。

しかし、遺伝子の仕組みを考えるとなんだか、ガン患者の増える(増えて見える)根底にはこんな確率論が隠れている気がしてなりません。

まとめ

長寿になると、代謝のために遺伝子が自らのコピーを作り出す期間と回数が必然的に増える。コピーの製造ミスがガンの原因とすると、長寿になると必然的にその国にはガン患者が増える。そんなことのような気がします。

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