ホログラフィは、『部分にも全体が含まれている』という性質を特徴とします。実際、ホログラフィが焼き込まれたフィルムを真ん中で真っ二つに切ると、少し色が薄くなる、ぼやける感じはあるのですが、両断された2つのフィルムのそれぞれから、それを窓として三次元の映像を覗き込んでいるような現象が確認できます。(これはほんと実物を見ないとなんとも実感してもらうのが難しい現象です(笑))
サンショウウオの脳を使って行われ、非常に不思議な結果が得られた実験があるのでそれをご紹介します。
脳の有機コンピューター説
脳もコンピューターと同じく、一時記憶を司るメモリの部分、長期記憶を担当するハードディスクの部分、思考をするCPUに当たる部分といった具合に、各パート毎に機能を持っていて、そこが失われれば当然その機能が使えなくなると考えられています。ところがこの説については色々と矛盾するような事象が報告されていて、例えば私が実際に聞いたものではある大学の教授の息子さんのお話があります。五体満足に生まれてきてくれたものの、何かのきっかけでその子の脳のCTスキャンを撮ったところ、普通は脳の半球の左右が白く円形に映し出されるところ、左右のどちらだったか半球が真っ黒に映し出されていたのだそうです。お医者さんは「幼児の今は何も感じないかも知れないが、脳の半分が全く働いていないのだから、いずれ学習障害のような症状が出始める」と説明したのだそうです。
なので、そういう覚悟で育児に臨んでいたところ、待てど暮らせどそのような発達障害のような症状は出て来ない。結局、何の問題もなく平均よりも随分良い学力の大学にも受かったし、あの「脳の半球が全く働いていない」という医師の説明は一体何だったのかということでした。その男性はどういうわけか、普通の人の半分しかない脳みそで普通の人と全く同様の生活をしているのです。
脳のホログラフィ説
脳の特定の部位に電気的な刺激を与えると、毎回同じ記憶が想起されるという実験結果があり、これは脳が特定の部位に特定の機能を持っている、物理的なコンピューターと同様だという説の強力な根拠になっていました。ところが、この実験は「てんかん発作」を持っている患者に限って起きる事象だということが後ほど分かり、証拠としては否定されてしまっています。
しかし、脳は有機的なコンピューターであって機能単位に分割が可能だという考え方を捨てられない学者の方が、ある実験を行いました。両生類(カエルもこれ)のサンショウウオを使って、脳を弄る実験です。(サンショウウオは恐ろしく再生能力の強い生物で、腕を切り落とされた程度だと簡単にその部位は再生されてしまいます。)サンショウウオから脳を取り出すと、さすがに「脳ナシ」ではサンショウウオは昏睡状態になりました。1度取り出した脳を元の持ち主の体に戻してやると、サンショウウオは何事も無かったかのように活動を再開しました。(これだけでも驚きな感じですけどね。そんな単純なものなのかと。だって人間の場合、脳は脊椎と繋がってる関係で脳だけ切り離して取り出して、みたいなそんなSDカードみたいな単純なものじゃないと僕は思ってるからです)
次に、もう一度脳を取り出して上下を反転させて体に戻しました。これでも何も問題は起きない。次に、脳を切って半分にして戻す、4分割して戻す、仕舞いにはすり潰して団子状にしたもので戻す、ということをやってみたのだそうです。結果は、「脳の一部分でも戻せばサンショウウオは何の問題もなく活動する」ということ。これは恐ろしくそして不思議な実験結果です。部分的にでも脳を戻せばサンショウウオは生きることができる、ということはその戻した脳の一部分に、100%の体積だった時と同様の機能が備わっている、ということになります。「部分にも全体の情報が備わっている」というのはまさにホログラフィの性質で、脳というのはひょっとすると、有機物で構成された三次元的なホログラフィックな記憶媒体なのではないかという説が浮かんで来ます。
まとめ
非常に自己再生能力の高いサンショウウオで行われた実験であり、これがより高等な哺乳類といった生物で成り立つのかというところは追加の実験が待たれるところですが、少なくともサンショウウオに限って言うと、「脳は一部分であっても生命を維持するために十分な機能を持っている」ということ。一部に全体の情報が詰まっているのです。冒頭で説明したある教授の息子さんのエピソードも重ねて考えると、脳というのは単純なコンピューターと同様に、CPU、メモリ、ハードディスクといった機能単位に分割可能なものではなく、何かそれとは別のものだということになってきます。脳は、ホログラフィックな情報を格納するための有機物で構成された媒体、ということになるのかもしれません。
コメント